ある日、ネットで『パパ活』という言葉を知り、タダでデートできて美味しいもの食べれたらめちゃええやん!と思い、なんとなくマッチングアプリに登録してみた。

秋の肌寒い季節でもあったし、人と話して少しでも心があったかくなれたらという思いもあって、気軽に始めた。

若い男性と出会う気はなかったので、マッチング検索の年齢設定は40代以上にした。

若い年齢の女が若い男に会おうとしない時点でパパ活感が出ているので、そのアプリでは思ったよりたくさんの人に話しかけられることはなかったが、そんな中でもお話できる人は何人かいた。

中でもユウジさん(仮名)という58歳の男性との話は今でも印象に残っている。今回は、そのユウジさんとのエピソードを書いてみようと思う。

私は20代半ばなので、ユウジさんとは親子ぐらい歳が離れていた。

マッチングアプリというものをしたのはこれが初めてだったので、ユウジさんに『このアプリをしていい人に出会えましたか?』とたずねると、『いろんな方と話せるので楽しいですよ』と答えてくれた。

大体私が質問をしたり、仕事の愚痴を聞いてもらうことが多かったように思うが、ユウジさんは無視するようなことはなく、短い文章でもきちんと答えてくれる紳士だった。

ユウジさんに投げかけた質問のひとつに、『男女の友情は成立すると思いますか?』というのがあったのだが、ユウジさんは『成立しないと思う』と答えた。

私としては、成立すると言って欲しい気分だったが、ユウジさんはそう言ったのだ。

女性に接するからには少なからず性欲はあるというような意見をくれたように思う。

適当にごまかして言ってくれてもいいのに、ネット越しでも正直に話してくれる大人もちゃんといるんだなとあのとき感じた。

正直で紳士なユウジさんに少しずつ信頼を置けるようになり 、そこから様々な話をするようになった。

パパ活を通して求める人の温もりや安心感のようなもの

そのアプリと並行して、別のマッチングアプリでもパパ活のようなものを徐々に始めるようになったが、なかなか人と仲良くなれることはなかった。

私は、ただ心がホッとできる場所があればいいなあと思うのだけど、男性側としては恋人や結婚相手募集目的が多いので、その気がないと知ると返事をくれなくなるのだった。

ネット越しの関係性というのは希薄なものだなあ、あってないようなものだなあという日々を送っていた。

ユウジさんとも細く長く、程よい距離感で雑談する日を続けていた。

マッチングアプリの相手に、『他何人ぐらいとも話している』だなんていうのを話すのはタブーなのかな?思いながらも、こんな風な人と話してこんなかんじだったよというのをユウジさんになら話すことができた。

ユウジさんは、変わらず親切で正直に返事を返してくれていた。

ユウジさんとは、隣あわせの県だったので一度会うことになった。二人とも古い純喫茶が好きということでそこで昼間にお話をした。

タバコを吸うけれど大丈夫?と気を遣ってくれたり、インターネットで出会ってリアルでも話せるってなかなかないことだよね! と互いに感想を言い合ったりした。

実際に会えるというのはお互いに信頼していないと難しいことだと思うので、出会えたのは奇跡に近かったと思う。

最初は、パパ活でお金儲けや得が少しでもできたらなんていう気持ちがあったが、いざ目の前に親しく話した相手が存在すると、その人からお金をもらおうとかいう気持ちは全くなくなった。

お茶代はユウジさんが出してくださったので、それはとても感謝している。

ユウジさんとの出会いで得たのは、お金よりももっと大事なことだったように思う。 インターネット越しにも人の体温はあって、私の話に価値を感じて耳を傾けてくれる人がいるのだ ということ。

遠く離れた場所にいてくれる他人だからこそ、話せることもあると思う。あれからユウジさんとは会っていないが、元気にしているのかなあ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です